計画をスタートした時にまず観察するのは敷地と周辺の環境です。 建築基準法では都市計画や住環境の観点から多くの制限が規定されています。 法律だけではなく風水のように先人からの知恵によってつくられた定石となっている考えもたくさんあります。
その中でも敷地と道路位置関係によって建物の平面計画は大きく変わります。道幅や交通量、人通りなども大切です。道幅の狭い場合(4m未満)は敷地の一部を道路として扱う(道路後退セットバック)ため敷地を目一杯使うことができなかったりします。また幹線道路なのか、交通量の少ない住宅地の中なのかによっても計画の仕方は変わってきます。
玄関の位置、駐車スペース、庭の位置の取り方、採光の取り入れ方も様々になってきます。設計の作業は与えられた様々な課題から筋道を立てて難解なパズルを解いていくような感覚もあります。 敷地により一長一短ですが与えられた環境を最大限に活かした設計をしたいですね。隣地にどのような建物が建っているかといったことも非常に重要な要素ですが、今回は道路の方位に着目してみます。

北側道路
北道路の場合、庭を北にするか南にするかによって大きく計画が変わります。
北庭の場合、植栽が建物の影になり日光が届かず育ちにくい環境になります。 この場合は日陰でも育つ樹種を選定するなどの配慮が欠かせません。建物と道路境界線までの距離が短すぎると気軽に窓を開けることはできないだろう。
一方、南庭とするとプライバシーが守られた庭にすることができます。通行人からの視線を気にする必要のない快適な庭とすることができます。ただ、建物を北寄りに計画した場合は駐車スペースの確保には工夫が必要になってきます。このあたりは設計手腕が問われる部分ですね。北にも南にも一定のスペースが必要になってくるため敷地をフルに活かした計画ができるかが勘所になってきます。
北玄関となると日光が取り込めないために玄関が暗くなりがちです。プランニングによって明るさを確保する工夫も必要になるかと思います。

東側道路
東道路の場合、庭を南にするための建物は北に寄せるケースが多いです。その場合は建物内部の計画では南、東面から光を取り入れることができるため明るい部屋を多くつくることができ、建物計画がしやすい配置と言えます。敷地の形状が道路に対して縦長か横長かによっても計画は変わりますが南、東どちらかが開けている場合は建築計画においてメリットは多いです。比較的要望を叶えやすい敷地環境であると言えるでしょう。

南側道路
南道路の場合、隣の建物に遮られることなく日光を取り込みやすいので、明るい空間を多く確保できます。
建物は北に寄せることで、庭も南に計画しやすく植栽にとっても良好な環境を得やすいです。もっとも好まれる方が多いのではないでしょうか。計画の自由度は最も高い道路位置関係だと思います。庭を眺め、明るく開放的なリビングでくつろぐ姿が容易に想像できますね。南道路最高です。
ただ、道路を歩く人からの視線には配慮をしたいですね。

西側道路
東道路と同じく北側に建物を寄せて配置計画をすることで南、西面から光を取り入れやすいので計画はしやすい環境と言えます。しかし、夏の強い西日を考慮するならば西面に大きな窓を計画するのはなるべく避けた方が良いです。 どうしても西面に大きな窓を計画する場合には、窓の前に植栽を植えたり、日射角度に配慮した塀や窓の大きさや位置に気をつかいたいところです。
一般的には道路方位について順位をつけるなら
南→東→西→北
となりますがこれはあくまでも「一般的な話」ですし、一つの要素でしかありません。
どの方位に道路があっても良い家をつくることはできます。
その敷地でしか出来得ない計画というものが必ずあるのでご安心ください。
土地探しをする際には一つの参考にしてみてください。